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随筆集「下町」から 蕎麦

虚誕堂は昨年末、ついに蕎麦好きが高じて食べ歩きから一歩進めて「蕎麦打ち」を趣味に加えた。

 

と言うことで、随筆集「下町」を開いてもついつい「蕎麦」のタイトルを探してしまう。

で、見つけたのが岡本綺堂「新旧東京雑題」。

そこに記されている著者の蕎麦への「想い」「歎き」をいくつか抜き書きしてご紹介する。

 

写真

 

「そば屋は昔よりも著るしく綺麗になった」

「私たちの書生時代には、東京じゅうで有名の幾軒を除いては、どこの蕎麦屋もみな汚いものであった」

「綺麗な蕎麦屋に蕎麦の旨いのは少ない、旨い蕎麦を食いたければ汚い家へゆけと昔から云い伝えたものであるが、その蕎麦屋がみな綺麗になった。そうして、大体においてまずくなった」

「われわれの子供などは蕎麦は包丁で切るものであると云うことを知らず、機械で切るものと心得て食っているが、確かに機械切りの蕎麦は旨くないようである」

「そば切り包丁などという詞はいつか消滅するであろう」

「人間が贅沢になって来たせいか、近年はそば屋で種物を食う人が非常に多くなった。

ほんとうの蕎麦を味わうものは盛か掛を食うのが普通で、種物などを喜んで食うのは女子供であると云うことになっていたが、近年はそれが一変して銭のない人間が盛、掛を食うと云うことになったらしい」

「種物では本当のそばの味はわからない。そば屋が蕎麦を吟味しなくなったのも当然である」

「そば屋では大正五、六年頃から天どんや親子どんぶりまでも売りはじめた。そば屋がうどんを売り、さらに飯までも売ることになったのである。こうなると、蕎麦のうまいまずいなどはいよいよ論じていられなくなる」

 

「わが意を得たり」の一文である。

ただ、これは岡本綺堂が1939年(昭和14年)没の人であることを考慮しなくてはならないだろう。

とは言っても彼の「想い」「歎き」には十分いまでも共感できる。

 

*上記は「綺堂むかし語り」 197812月旺文社文庫所収 38年前の発行

*岡本綺堂 18721939 劇作家、演劇評論家 

 

と言うことで虚誕堂は、旨い蕎麦を求めて「蕎麦打ち」修行始めたところである。

 

 

 

*今日は何の日:ハップル宇宙望遠鏡打ち上げ(1990)

*この日生まれの有名人:つかこうへい(劇作家・1948)

 

*今日の花:紋天竺あおい

*花ことば:決心

author:Jさん, category:趣味・興味あること, 14:24
comments(4), -
Comment
賢翁

「博学に何ほどのこと 惹かるるは人の優しさ タンポポ綿毛」
草閑人, 2017/04/28 10:49 AM
虚誕堂さま

辛味大根でけたらええのにな。けど、あの辛味大根は地を選ぶらしく泉州の水茄子とおなじようにどこでも栽培できるものではないと聞いたよ。

「かわたれどき」を読んで思うたが、愚僧の若い頃、紫明町にある呉服屋さんが「気いつけてお帰りやす。おうまどきやし」といわれてお馬時てなんのこっちゃと思うてたんや。それを言うたら生粋の京雀のMが「遅い夕方のことやん」て教えてくれた。
へ〜へ〜へ〜である。
おうまどきはおうまがどきの転で(逢魔が時・大禍時・王莽時)とあった。
あのおばあさん以来未だ一度も聞いたことがのうて懐かしい。京都の老人で今でも使うたはる人はあるんやろか。ご内儀の両親は使うたはったんやろか。

全く使わないタソガレ時を表すことばに夕暉(セッキ)桑楡(ソウユ)があるけどこれは漢語やし書き言葉やからよいとして、雀色時も薄暮も会話としてはあんまり使わんなあ〜。

子どもの頃盛んに使うたバンゲ(=晩景)やヨサリ(=夜更)は何で聞かんようになったんやろか。不思議。丹波方言なんやろか。


「火ともし頃」ていうのんが誰にも通じてがなんとのう好き。



草閑人, 2017/04/26 5:35 PM
そうです。蕎麦の薬味は「わさび」ではなく、お説のとおり「辛味大根」が最高であります。
福岡の早良区の山奥の蕎麦屋で実に辛い、旨い大根に出合い、その後、裏の畑で「辛味大根」なる種子を育てたことがあったが出来たものは辛味が不足していた。
あらためてこの大根を研究しなければならないと思うのであります。
虚誕, 2017/04/26 11:57 AM
賢翁

激しく同感。
蕎麦屋は蕎麦だけ商ってなりたたへんのかなあ〜
ラーメン屋は仰山あるり海外(台湾や中国人まで)食いにきてるのに何で蕎麦屋は少ないんやろ。
この美味さを外国人にも知らしめたいと思うボルト。
殻を外してから挽いたのではのうて殻ごと挽いてから製粉したやや黒っぽい田舎蕎麦が好き。
蕎麦の香が立つから。かつ二八ではらのうて十割(かなり力と技術がいるみたい)が好き。
滋賀北部の一部と福井県以外では栽培でけへん辛味ダイコンタップリを薬味とする福井以北日本海沿いの蕎麦が美味いそ。
鯖江で竹笊で出された腰のしっかりした蕎麦を食うて驚いた。裕仁や宇野重吉・吉永小百合などがわざわざ(漢字では態々と書く)食いにきてるのにそんな宣伝もしない蕎麦屋。
越前大野の蕎麦はどこでもそやねん。
eight tea さんと千古の家までそれを食いにいった。おばあちゃん二人だけの店で褒め倒したらお代わりくれはった。
また行くぞ。出石蕎麦がなんぼのもんじゃちゅう感じ。

虚誕堂蕎麦の精進を願う。食いに行きたいから。

追伸あり、あとで。
草閑人, 2017/04/25 11:00 AM